母親と赤ちゃんの血液型はかならずしも同じとは限りません。
血液型不適合妊娠とは、胎児の血液型抗原が母体に存在しない場合をいいます。
血液型は、主なものにABO式(A・B・O・AB型)とRh因子(-・+)があります。
例えば「O型 Rh+」「O型 Rh-」
ABO式で同じ型の血液でも、Rh(-)の人に、Rh(+)の血液を輸血すると、自己免疫反応が起こります。
ABO式血液型不適合妊娠での新生児溶血性疾患(HDN)の程度は軽いことが多く、光線療法で対処できる場合が殆どです。
しかし、Rh式血液型不適合妊娠は、女性がRh(-)、男性がRh(+)の場合、初回妊娠の第1子は問題はありませんが、第2子以降に血液不適合が起きるケースが多なります。
女性がRh(-)、男性がRh(+)の場合、子供は約9割の確率でRh(+)となります。Rh(-)の女性が初めて妊娠した胎児がRh(+)だと、分娩時に胎盤剥離により胎児の赤血球が母体の血液中に混入し自己免疫反応が起こり母体内に抗D抗体が作られます。
第2子を妊娠すると作られた抗D抗体が胎盤を通じて胎児に入ります。Rh(-)の胎児であれば問題はないのですが多くはRh(+)の胎児です。母体は自分と違うRh(+)を持つ胎児を異物として胎児の赤血球を攻撃して破壊し貧血や浮腫が起きることが多くなり、流産や早産、死産の危険性が高くなります。
満期産の場合も貧血になり分娩数時間後に、Rh式血液型不適合妊娠による新生児溶血性黄疸が起きます。
放置すると核黄疸を起して脳に傷害を起こしたり死亡に至ることもあります。
現在は、第1子出産後72時間以内に、次回の妊娠時に抗体を産生しないように、抗Dヒト免疫グロブリン注射を接種し予防することができます。この処置は、出産に限らず、中絶、流産の場合も必要となります。