分娩の時に、胎児は産道を通りやすくする為に、何度か向きを変え、回転しながら骨盤内に進んでいきます。これを回旋と言います。分娩の進行過程において正常に回旋がいかない場合を回旋異常と言います。陣痛が起こり胎児は第1回旋をしながら、子宮口が10cmの全開大となります。
胎児の回旋
・第1回旋「産道を横向きのまま顎を引きながら回旋(頚部屈曲)」
・第2回旋「うつ伏せ(内回旋)」
・第3回旋「第1回旋で引いていた顎を伸展、頭を出す(伸展)」
・第4回旋「元の向きに戻りながら肩がでる」
胎児の回旋時の異常
・第1回旋の異常「産道に入る胎児が顎を上げた姿勢の反屈位」
・第2回旋の異常「母体の骨盤の広さに比べて胎児の頭が大きすぎて順調に産道を通過できない状態の児頭骨盤不均衡」
「胎児後頭が母体の後方に向かって回旋する後方後頭位」
・第3~第4回旋までくれば回旋異常は殆どなく赤ちゃん誕生となります。
陣痛が持続しているが分娩が進行しない「微弱陣痛」(※1)と「過強陣痛」(※2)の時に回旋異常が考えられます。主な原因として、「骨盤の形態異常」、「子宮筋腫」、「低置胎盤」また、巨大児・低出生体重児出産の場合などに回旋の異常が起こりやすくなります。
回旋異常があるとお産に時間がかかり胎児が危険な状態に陥ることがあります。経膣分娩で胎児機能不全の恐れがあるときは、産婦人科医師は内診、超音波などの検査の状態を診ながらお産を進めていきます。胎児の状態に応じて、鉗子分娩、吸引分娩に切り替えることがあります。経膣分娩が無理な場合は、帝王切開での出産となります。
(※1)・・・時間とともに陣痛が弱くなる。
(※2)・・・陣痛が強くなる。