京都の産婦人科(無痛分娩)・不妊治療は身原病院

身原病院

吸引分娩(きゅういんぶんべん)

鉗子や吸引を使ってお産(難産)を助ける「鉗子分娩(かんしぶんべん)」と「吸引分娩(きゅういんぶんべん)」の分娩方法があります。
金属製(ハードカップ)又はシリコン製(ソフトカップ)の丸い大きなカップを赤ちゃんの頭に当て、カップ内の空気を抜き、吸引力によって赤ちゃんを索引する分娩法を吸引分娩といいます。
1954年にスウェーデンで開発され日本の産婦人科でも広く使われるようになりました。
近年では、鉗子の操作より簡単で安全性も高いため、吸引分娩(きゅういんぶんべん)の方が多く用いられていますが、吸着力には限界があるので索引効果は鉗子分娩より劣ることがあります。

<吸引分娩・鉗子分娩が行われる状態>
 ・子宮口が全開大しており胎児も下がって後もう少しという時に分娩の進行が止まってしまった場合。
 ・母体が疲労や微弱陣痛で胎児の回旋異常でお産が進行しない場合。
 ・母親に合併症(心疾患・妊娠高血圧症候群)がありあまりいきませることが出来ない場合。
 ・胎児の心音が急激に低下した場合。
 
<吸引分娩・鉗子分娩が行われる条件>
 ・破水している事。
 ・胎児が頭位であること。
 ・胎児が成熟していること。
 ・胎児の頭が一定以上に下がっていること。
 ・帝王切開で対処できる環境であること。

<合併症>
・胎児・・・吸引された部分の頭に、頭皮が傷ついたり、頭皮が剥がれる、血腫ができる、こぶができたり、頭が細長くなることがあります。生後、徐々に目立たなくなり治ります。脳への影響は殆どありませんので、あまり心配する必要はありません。
吸引分娩は鉗子分娩に比べて胎児に与える損傷が多いです。
・母体・・・会陰切開の痛みが強い可能性がありますが鉗子分娩より損傷が少ないです。

安全に速やかに分娩をさせなければ悪状況になってしまう場合に、いくつかの分娩補助器具をもちいての出産となり、その一つとして吸引分娩があります。
最近は性能の良い吸引機があり、産婦人科では吸引分娩が多く用いられています。

この記事を監修した人
村山眞治(SHINJI MURAYAMA)

産婦人科専門医で医療法人倖生会身原病院 副院長。
専門医:公益社団法人 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、母体保護法指定医師、麻薬施用者