身原正哉
村山眞治
身原香子
濱崎温美
森田裕子
小林直子
岸上木綿子
北宅弘太郎
南川淳隆
晩婚化が進む日本において、今や不妊治療はカップルのうち5組に1組は何かしらの治療経験があると言われています。不妊治療のまたの名を『生殖補助医療(せいしょくほじょいりょう)』といい、生殖補助医療の技術は年々進歩しています。
不妊治療はマイナスなイメージで話題に上がりやすいですが、早めに不妊治療を行うことで妊娠しにくいと言われる夫婦であっても赤ちゃんを授かることは、現代の技術では可能になってきています。
今回は不妊治療の事や不妊治療施設の選び方について、詳しくとりあげていこうと思います。
不妊症の定義は、妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交渉を行うが、1年以上妊娠しない状態であることとされています。以前は2年のラインが引かれていましたが、晩婚化であることや不妊治療はできるだけ早く取り掛かった方がいいことなどを理由に、2年から1年へと変更されました。
妊娠が成立するためには、卵子と精子が出会うためにあらゆる条件をクリアしなくてはなりません。不妊症の原因には、明らかになる因子が90%、不明である因子が10%あるといわれており、また多くの因子が重複している可能性があります。ここでは女性の不妊の原因になりうるといわれている因子について、ご紹介致します。
1 排卵因子(はいらんいんし)
毎月規則的にくる『生理(月経)』の前には排卵をしており、その排卵機能に何かしらの異常をきたして無排卵になってしまったり、定期的に排卵できなくなったりします。主な原因としては甲状腺ホルモン異常症や多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)、極度の肥満や痩せなどが挙げられます。
2 卵管因子(らんかんいんし)
卵子と精子が出会う場所である卵管が詰まってしまい、通過障害が起きることで不妊症になります。主な原因はクラミジア感染や内膜症による癒着(ゆちゃく)などが挙げられます。
3 子宮因子(しきゅういんし)
排卵しても内膜が準備できておらず着床できなかったり、子宮そのものの奇形などでうまく着床できなかったりすることで不妊症になります。主な原因として子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどが挙げられます。
4 経管因子(けいかんいんし)
子宮の入り口である子宮頸管(しきゅうけいかん)部分の粘液量が減ったり粘液度が低下したりすることで精子が子宮に入りにくくなり不妊症の原因になります。ヒューナーテストはこの経管粘液の検査を行い妊娠しやすい状況かをみていきます。
5 免疫因子(めんえきいんし)
何かしらの自己免疫が働き、子宮外生物である精子を除去しようとして不妊症になることがあります。抗精子抗体を持つ場合に精子を攻撃してしまい、精子の運動能力を喪失させ妊娠することができなくなります。
6 原因不明の不妊症
約1割の確率で原因不明の不妊症もあります。ストレスを感じることも大きな原因と考えられていますが、今だに解明できておりません。
不妊症でよくクローズアップされるのは女性が原因の不妊症ですが、実は男性が原因の不妊症は半数の割合であるとも言われており、近年ブライダルチェックなど男女ともに検査を受けるカップルも増えてきております。
1 造精機能障害(ぞうせいきのうしょうがい)
なんらかの原因で精子の数が少ない、あるいは無い、精子の動きが悪い、精子の形状が変化しているなど精子が原因で不妊症になります。この造精機能障害の主な原因と言われているのが精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)です。精子は熱に弱いという特徴をもっていますが、精索静脈瘤は精子を温めてしまい不妊の原因になってしまうのです。
2 精路通過障害(せいろつうかしょうがい)
精子が睾丸(こうがん)で作られて、ペニスの先までに通る道に何かしらの異常があり通れないことで不妊症の原因となります。精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)などが原因になることがあります。
3 精機能障害
セックスで射精することがなきないことによる不妊症です。勃起不全や膣内射精障害(ちつないしゃせいしょうがい)などが挙げられます。糖尿病やストレスなど様々な原因で起こりうる可能性があります。
4 加齢による影響
男性も加齢により35歳を過ぎると精子の質の低下が起きると言われています。
不妊治療にはステップがあり、ひとつずつチャレンジしてダメであればさらに上のステップにいく、という流れで治療を行っていきます。一般的な不妊治療のステップをご紹介致します。
<ステップ1:タイミング法>
おりものの状態や基礎体温、また超音波にて卵胞や採血によるホルモン値をみて排卵日を把握して排卵日に性交渉を行い、自然妊娠を目指す方法です。
<ステップ2:タイミング法+注射>
ステップ1のタイミングをはかるものの自然妊娠しない場合に、タイミングに合わせて排卵や卵胞の成長を促す注射を打ちます。そうすることでより確実に排卵日を確定し、性交渉をすることができます。
<ステップ3:人工授精(じんこうじゅせい)・AIH(エーアイエイチ)>
タイミング法をはかってもなかなか妊娠しない場合やヒューナーテストの結果が悪い方、男性不妊の可能性がある方などが行います。
精液を医師の手を介して子宮内に注入する方法で、子宮頸管(しきゅうけいかん)には異常があるが子宮の状態が良い方などに人工授精は有効です。
<ステップ4:体外受精(たいがいじゅせい)・IVF(アイブイエフ)>
一定期間人工授精をしても妊娠しない方や男性不妊の原因の可能性が強い方などが行います。卵子と精子を体外で受精させ、受精卵になったのを確認後、子宮内に受精卵を戻す方法です。
<ステップ5:顕微授精(けんびじゅせい)・ICSI(イクシー)>
体外受精よりもさらに人の手を介す方法で、顕微鏡を使用して卵子と精子を人工的に受精させ受精卵をつくります。その後子宮内に受精卵を戻す方法です。
これらのステップを介しながら、不妊治療は毎月の生理周期に合わせながら治療を行なっていきます。
不妊治療施設は、日本産婦人科学会のデータによると約600施設以上あると言われています。施設ごとに金額も施術内容も違っており、600施設の中から自分にあった医療機関を見つけるのは容易ではありません。しかし、年齢的な制限時間が決められている妊娠だからこそ、時間をかけて医療機関を選ぶ時間もありません。ではどのように不妊治療施設を選んでいけばよいか、選ぶ時のポイントをご紹介します。
1つ目は、不妊相談やタイミング療法のみ相談している医療機関で、これらについては産婦人科や婦人科であれば概ね相談、診察が可能です。しかし不妊治療に特化しているわけではないので、人工授精以上の不妊治療を行う場合は不妊治療専門の医療機関に変更する必要があります。しかしながらかかりつけの産婦人科や婦人科で相談できますので、気軽にかかれるのが特徴です。
2つ目は、不妊治療を行っているものの培養室や採卵室といった特殊な設備を備えていなく、人工授精までの治療を実施している医療機関です。この医療機関は、培養室で胚を培養する胚培養士(エンブリオロジスト)がいないことが多く、医師が治療を行い、人工授精まで対応しております。高度不妊治療の体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)を行う場合は、高度不妊治療施設に変更する必要があります。産婦人科で出産を行っている医療機関においては人工授精まで対応している施設も多く、妊娠したらそのまま出産までできるのは心強いポイントです。
3つ目は、高度不妊治療施設として培養室や採卵室、回復室、採精室などの特殊な設備を有している生殖医療の専門医療機関です。生殖医療において胚の培養を行う胚培養士(エンブリオロジスト)がおり、不妊相談から体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)の全てに対応している医療機関です。高度不妊治療施設であれば、不妊治療の助成金施設になっていることも多く、助成金の対象施設であれば助成金を活用した治療をすることが可能です。また不妊治療に特化しており、不妊治療のデータ収集もしておりますので概ね妊娠率などの情報開示をしている所が多いですので、是非妊娠率の成績もご確認頂ければと思います。不妊治療を行う生殖医療専門の医療機関になりますので、医師以外にも不妊カウンセラーや胚培養士の相談なども行っている医療機関もありますので、不妊治療について色々と細かく相談できる医療機関が多いのが特徴です。
3つの施設の中で、1つ目と2つ目においては妊娠率の情報開示まで行っている所は少ないと思いますが、3つ目の生殖医療専門の医療機関においては情報開示している所も非常に多いです。そのため、実力のある生殖医療機関を選ぶコツとしては、治療件数や妊娠率などの実績のある生殖医療機関を選ぶのはポイントです。実績のある生殖医療機関は患者さんからの人気も高いため待ち時間などが長くなる可能性も高いのですが、その分実力がある生殖医療機関ということです。
口コミサイトでも生殖医療機関の特徴がコメントされておりますので参考にして頂き、生殖医療機関のホームページにて治療件数や妊娠率が開示されていればその結果の数値が高ければ実力がある証拠です。
不妊治療は、治療を行っても時間がかかるケースがありますので、妊娠実績を見て選ぶのもポイントです。
また生殖医療専門の医療機関で診てもらいたい人にとっては、医療機関の規模の大小よりも、不妊治療専門の生殖医療機関であるかどうかが重要です。一般婦人科疾患を主として診ている医療機関、施設規模が大きい医療機関や出産を行っているから不妊治療もやっているだろうと思われますが、医療機関として不妊治療を専門的に行っている生殖医療機関の方が、より専門的な治療をしてもらえる特徴があります。
しかしながら上記施設の違いを理解して、医療機関のうまい使い分けをしている患者さんも中にはおります。どういう方法かというと、初めから生殖医療機関で不妊治療を行う人もおりますが、生殖医療機関は混んでいる所が多いため初期の不妊治療については待ち時間の比較的少ない一般の産婦人科や婦人科にかかって時間を有効に使いながらタイミング療法を実施することです。
タイミング療法で妊娠をすれば、多くの待ち時間をかけないで治療ができる医療機関は良いですよね。もし何回か実施して妊娠しない場合は、人工授精(AIH)、体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)を行っている生殖医療機関を受診すればよいので、自分に合って、うまく医療機関を使っていくのが良いと思います。
不妊治療は自分の仕事などの都合に合わせることは難しく、自分の体質やホルモンの状況に合わせて行っていく必要があります。そのため通院のしやすさも、とても重要です。来院回数がある程度予測されますので、通勤場所から通いやすいことも大切ですし、治療と仕事を両立できず泣く泣く仕事を辞める女性も多くいます。金額的な負担の大きい不妊治療だからこそ、できるだけ仕事と両立して治療が進められるように通いやすい医療機関を選定するのもポイントです。
不妊治療は「神の領域」の医療と言われており、命を生み出すことが出来るようになった現代の最新の医療技術であると言えます。これまで不妊で子供を授かることができなかったカップルも、治療をすることで妊娠することが出来るようになったりもしております。
日本は少子高齢化に突入しており、晩婚化も不妊治療を行う要因になっております。2017年の日本では、約5.6万人が生殖補助医療により誕生しており、全出生児の6%にあたり、約17人に1人は生殖医療技術によって誕生しております。
しかしながら不妊治療には仕事との両立に課題や悩みを抱えている女性が非常に多く、中でも精神面、通院回数の多さ、体調や体力面で仕事との両立ができないと挙げられている女性が大半です。そのため仕事と不妊治療の両立ができず、約16%近くが離職をしている状況です。
また不妊治療の知識について、平成29年の調査では約76%の方が不妊治療に係る実態を殆ど知っていなく、まだまだ不妊治療に対する壁もあるのが現状です。是非1人で悩まずに、ご夫婦で、難しければ生殖医療機関では相談体制も整えている医療機関が多いですので、先ずはどのような方法があるか、どの様にしたらよいか等でも気軽に相談し、今後の夫婦の在り方、子供を授かるということ、子供を育てるということ等を、今一度夫婦で話し合い、同じ方向を向いて是非最適な夫婦生活を考え、不妊治療を行うのであれば自分に合った不妊治療をして頂ければと思っております。
産婦人科には色んな特色の施設があり、自分に合った産婦人科を見つけることがとても大切です。
産婦人科とは出産をするだけの場所ではなく、14回程度妊婦健診に通ったり、出産後も1ヶ月検診やその後の婦人科機能の確認や健康チェック、更年期障害など女性が人生を通して相談をする場所でもあります。
妊娠・出産するだけの施設ではなく、生涯を通して相談したいと思える場所になるよう、是非皆さんに合った産婦人科を選んで頂ければと思います。
今回は、妊娠した方、出産する方の視点での、産婦人科の紹介をしていこうと思います。
産婦人科系の診療科目には、産科、産婦人科、婦人科とあります。
大きくはこの3つに分類されています。どの診療科目も、産婦人科専門の先生が診療にあたっておりますが、「産科」は妊婦や出産・産後を主に診療する医療機関、「婦人科」は女性特有の疾患を診ており、月経やおりものの悩み、子宮・卵巣の病気、性感染症、更年期障害、避妊、中絶、不妊の相談や治療などの女性の幅広い相談・診療をする医療機関、「産婦人科」はその両方を診療する医療機関です。そのため「婦人科」においては妊娠に関する診療を行っていない所が多いですが、最近では「婦人科」でも出産は他医療機関で行うもののその前後の妊婦健診、産後の管理を実施している医療機関もありますので、詳細は医療機関に確認してみて下さい。
また「産科・婦人科」と標榜している医療機関と、「産婦人科」と標榜している医療機関がありますが、これらは表記方法の違いだけでどちらとも妊婦や出産と女性特有疾患の両方を診ているところが殆どです。ただ「産婦人科」と標榜しても出産できる施設とは限りませんので、詳細は医療機関にご確認頂ければと思います。
病院選びの時に考慮しなければならないのが妊婦健診の受診のしやすさです。妊娠初期から23週までは4週間に1回の受診であるため、どこの産婦人科を選んでも大きく困る事はありませんが、24週から35週までは2週間に1回、36週からは1週間に1回と徐々に通院回数が増えていきます。 一般的に産前休業に入るのは予定日の6週間前(双子など多胎妊娠の方は14週間前)であり、産前休業に関しては法律的に必ず休まなくてはならないわけではないため「勤務地から通いやすい病院を選んだ方が良かった!」と言われる方が多いです。
またどのような交通手段で産院に通う予定かも大切です。自宅から徒歩圏内の方は特に問題ないのですが、電車通院の方は駅近であること、車通院の方は駐車場が整っているかなども確認するようにしましょう。京都の場合はバスも多くは知っており、電車ではなくバスの方が通いやすいケースもあるので、バスなどの来院も考えてみるのもよいと思います。
◆ワンポイントアドバイス◆
・里帰り出産予定の方は勤務地から通いやすい産院を選ぼう
・産前休業を出産予定日の6週間前からとる予定の方は、自宅からも勤務地からも通いやすい産院を選ぼう
・妊娠中仕事はせず、里帰り予定でない方は、自宅から通いやすい産院を選ぼう
10ヶ月にも及ぶ長い妊娠期間も過ぎ、待望の出産となりますが、ここで重要なのは「初産婦さんか経産婦さんか」ということです。 一般的に初産婦さんの陣痛開始から子宮口全開大(子宮口が10cm開くまで)は、約10~12時間で経産婦さんは約4~6時間と言われています。これには個人差があり、経産婦さんの中には陣痛に気付いてから1時間程で出産に至る方もいるため、経産婦さんは特に自宅から産院に出来るだけ近い方が安全であると言えます。
陣痛の痛みの感じ方は本当に人それぞれで、子宮口が全開大するまで全然痛みに気付かない方もいれば、前駆陣痛で我慢出来ずに入院される方もいます。そのため、1番安全に過ごしたい出産時期を重要視するのであれば、産院は出来るだけ自宅の近くで選ぶ事が大切になります。経産婦であれば、概ね30分以内で出産する施設に到着することができるのが望ましいと思います。
◆ワンポイントアドバイス◆
・里帰り出産予定の方は、里帰り先の産院選びは実家から近くの病院であること、里帰り出産先の病院は妊娠初期に電話して分娩予約をすること
・里帰り出産予定のない方は、旦那さんや家族が自宅にいない時間帯にもし陣痛が始まっても、自分で移動出来る距離の産院を選ぶこと
妊婦健診時にはどのように移動する予定でしょうか?もし、公共交通手段を使われる予定の方は、駅やバス停が近くにありますか?何度も通う病院になりますので、通いやすさも注意して確認するようにしてください。特に駅からの徒歩距離が長いと、意外に交通時間がかかっていることもあります。
また車で通う予定の方は、十分な台数が停まる駐車場があるかどうかも確認するようにしましょう。 駐車場が一部しかなく、近隣に駐車しなくてはならないと別に駐車料金がかかったりするため、車で通えるかもしっかり確認しましょう!
妊娠がわかると、まず最初に内診で赤ちゃんの入っている袋の確認や心拍があるかどうかなどを診ていきます。そのため、内診台の処置は女医さんがいい!という方もいるでしょう。
女医さんがいる病院かどうかはホームページで確認して、またその女医さんが何曜日に外来診察をしているのかを確認した上で診察予約するようにしましょう。ホームページ上で見てわからない場合は電話で確認しても大丈夫です。
助産師外来とは、助産師が行う出産前の健診、相談のことです。医師が行う健診は診察が中心で、助産師外来の健診は相談が中心であることが特徴です。助産師外来ではお医者さんには聞きにくいような些細な悩みなどもゆっくり相談することができる!と助産師外来を希望する方は多いです。ただし、助産師外来をしているのは助産師の人数の多い病院であるため、事前に助産師外来があるかどうかの確認が必要です。
院内助産院とは、病院の中で助産院のようなシステムを取り入れていることで、出産の管理を主に助産師だけで行なっています。ただし出産時にもし異常が起きれば産科医が、出産後赤ちゃんに異常があれば小児科医が対応(小児科医がいる医療機関のみです)するため、安全性を備えた助産院と病院の両方のよさを兼ね揃えたシステムです。フリースタイル分娩などを希望しているが助産院で産むには安全面が心配という方におすすめです。産婦人科医が減ってきている今、助産師外来と院内助産院は増加傾向であり、今後より需要が増すと言われています。しかしながら院内助産院はかなり大きな病院でしか取り入れられていないことも多く、詳細は医療機関にご確認下さい。
助産院では分娩の管理は助産師だけで行なっており、クリニックによっては産婦人科医と助産師で管理を行なっていることが多いため、小児科医がいないことはよくあります。
出産時の赤ちゃんのストレスは大きく、生まれてすぐは呼吸状態も安定していません。そんな時小児科医がいるとより専門的な処置をしてもらいやすいです。
もちろん小児科医のいない病院でも、赤ちゃんに異常があったらすぐに小児科医のいる総合病院に搬送する連携もとられていますが、より安全性を求めるときには小児科医が常駐している病院を選ぶのがよいでしょう。
また小児科医がいる病院では、1ヶ月健診で産婦人科医だけでなく小児科医にも赤ちゃんを見てもらえるというメリットがあります。小児科医がいない医療機関においては産婦人科医が小児科を診るところがありますが、予防接種や子供の診察においては小児科医が専門となるため小児科医の有無も判断のポイントとなります。
最近はホテルのように全室個室でシャワー室も個室内に完備の医療機関も増えて来ました。
基本的にはクリニックの方が食事や部屋が豪華であったり、病院や大学病院は多床室であったり質素な食事であることが多い印象でしたが、最近は病院でもホテルの様な仕様でレストランみたいな食事を提供している所が増えているようです。
ホテルのような綺麗なところで産みたい、リラックスしたいという方は、ホームページなどを見て、できれば実際に見学など行って判断するのが良いと思います。また多床室でもいいから複数診療科のある総合病院で出産をしたいという方は、総合病院などを選ぶのが良いでしょう。ただし地域の救急診療を行っている総合病院や大学病院においては、重症な患者さんや合併症を抱えていて患者さんを主として診ているため受診可能かは直接医療機関にご相談下さい。
出産後の重要な視点になるのが母児同室の有無です。母児同室とは、お母さんと赤ちゃんが同じ部屋でずっと一緒に過ごすことです。逆に赤ちゃんは新生児室に預けて授乳や面会のタイミングでお母さんが新生児室まで赤ちゃんを迎えにいくのが母児別室といいます。
産後は完全母乳で育てたいと思っているお母さんにおすすめなのは、母児同室です。母乳を出すためには赤ちゃんが欲しがるたびにおっぱいを吸わせることが重要だからです。授乳のたびに新生児室まで歩かなくて良いため体力的に母児同室がいいと言われる方もいます。
逆にミルク育児や混合授乳を希望しており、お産で疲弊した身体を入院中にゆっくり回復させたい方は母児別室がいいでしょう。医療機関によっては完全母子同室だったり、両方相談におじるところがありますので、どちらが良いかは気になったらご確認されるとよいです。
病院によって教室の種類は大きく変わってきます。基本的にどの病院を選択しても妊娠後期の両親学級(出産前の準備のお話など)は必須なことが多いですが、妊娠初期や中期の両親学級、マタニティヨガクラス、ベビーマッサージクラスなどは、その施設によって色々な種類のクラスがあります。ご希望のプログラムがある病院を選ぶのもひとつの選択肢になりますね。中には両親学級以外行っていない医療機関もありますので、教室も楽しみにしている方は是非事前にご確認してください。
医療面の安全で1番重要と言えるのが、医療スタッフの人数です。マンパワーとも呼ばれ、緊急時はマンパワーが重要であり医療者の人数が多ければ多いほど適切な対応ができます。特に産婦人科は忙しい時期が変動しやすく、出産ラッシュが起きるときには一人の助産師で3~4人見なくてはならないというような状況もあります。緊急帝王切開などもスタッフの人数がいないとすぐに始められなかったりします。病院では人員配置の基準がルール化されており概ね多い人員数が配置されております。病棟や外来をみてスタッフの人数もご確認頂くとよいです。
余談ですが、助産師はもともと産婆さんと呼ばれており、年齢が高いほどベテランというイメージが強いです。でも実は助産師になるのは何歳からでもなれるため、経験年数と年齢は比例しません。
では、どこでベテラン助産師かどうか判断すればいいかというと、対応した分娩件数です。助産師にとって分娩件数(お産の介助をした件数)はとても重要な指標で、この件数が多ければ多いほどあらゆる状況に慣れている可能性が高いと言えます。医療機関ではスタッフが何件対応しているかを表明しているところは殆どありませんが、その医療機関がどの程度の分娩件数を行っているかはホームページや都道府県の医療機関情報などで確認することができますのでご確認頂くとよいでしょうか。
また日本助産師評価機構が行っている、アドバンス助産師という認定があります。こちらの認定を取るには、分娩件数を一定数対応していることが必要となるため、一定数対応している指標にはなります(ただ分娩件数を多く行っていてもこちらの認定を取っていない助産師もおります)。
バースプランをご存知でしょうか?バースプランはどのような出産にしたいのかを事前にご自身の希望を描いてもらうもので、一生に数回しかない出産をより自分らしいものできるように事前に助産師と共有してもらいます。
では具体的にバースプランに書く出産方法にはどのようなものがあるのでしょう。以下を参考に理想のお産についてバースプランを描いてみましょう!
出産は病気ではないため、基本的には健康保険の対象外です。そのため妊娠出産の費用は自己負担になります。そのため、国の保証で出産育児金や妊婦健診時に使用できる妊婦健診受診票などの制度があります。
分娩にかかる費用はその地域によって全然違います。一般的に助成される出産育児一時金は42万円ですが、平成28年の調査では全国平均で50万円程度と自己負担をしていることが多いようです。最も平均値の高い東京都の場合は、62万円程度が相場のため手出しで20万円程度する様です。逆に最も低い平均値が鳥取県で、40万円程度のため手出しが無く済むようです。
このデータを見ると首都圏では高額になり、地方に行くほど安くなる傾向があるようです。但し価格の差はあくまで地域差で、地域によって補助の内容が異なるのが現状です。医療機関においては日本産婦人科医会の定められた健診項目をされていることが多く、行政の補助体制が異なることから価格差が出てしまっている現状もあります。日本国内においては大きな医療水準の差があるものではないものの、医療機関に応じて国が定めた最低限の診療ではなく必要な検査などを付加したり、サービスを拡張したり、診療内容やスタッフ体制などに差があるため価格差が生じている所もあります。そのため分娩費用がおおよそどのくらいの金額であるかは、直接病院に確認することををおすすめします。
◆ワンポイントアドバイス◆
妊婦健診受診票は、お住まい周辺の市町村でのみ使用可という条件があります。そのため里帰り分娩などで指定の区域外で妊婦健診に行く場合は償還払いといって実費で負担した妊婦健診費用の一部を後からまとめて支払いしてくれる制度があります。また連携している地域については他地域でも使えるといったこともあるため、住まいとは違う地域の医療機関にかかる場合はお住まいの市町村にご相談してみてください。
正常分娩の場合は健康保険が対象外ですが、帝王切開は健康保険が適用されます。つまり一般的に3割負担の自己負担になります。
一般的に帝王切開で出産したほうが入院期間が長く、退院時の総分娩費用は高いですが、高額療養費制度が使えること、民間の医療保険の手当がもらえたりと実費は結果的に少なかったという方が多いようです。
帝王切開は今や5人に1人の確率になりますので、妊娠前に民間の医療保険に入ることもひとつの出産準備となります。
◆ワンポイントアドバイス◆
妊娠発覚前に医療保険に入っておくことが医療保険を十分に活用できるコツです。5人に1人の確率で帝王切開になることを考えると医療保険は入っておくことがベターといえます。
無痛分娩は基本的には実費です。通常の分娩費用+10~15万円です。しかし無痛分娩は異常分娩(吸引分娩など)になるリスクが高いため、異常分娩になった場合にはその分の保険適応をすることはできます。
出産育児一時金直接支払い制度とは、医療保険者から医療機関へ出産育児一時金の支払いが直接的に行われるため、医療保険者は分娩費用の全額から42万円を差し引いた金額のみ支払うことができます。この制度を使うことであらかじめ多額の出産費用を用意する必要がなくなります。
今ではほとんどの医療機関が直接支払い制度を導入していますので、一度病院に確認をいれるといいでしょう。
今回は色々な種類の産婦人科施設のご紹介をさせて頂きました。人生のうちで出産はとても大きな出来事です。是非、あなたらしい出産ができるよう、産婦人科施設選びからあなたらしい視点で選択し、着実に出産準備を進めていくようにしましょう。
不妊治療の保険診療については、少子化社会対策大綱にて「不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額の医療費がかかる不妊治療(体外受精、顕微授精)に要する費用に対する助成を行うとともに、適応症と効果が明らかな治療には広く医療保険の適用を検討し、支援を拡充する。そのため、まずは、2020年度に調査研究等を通じて不妊治療に関する実態把握を行うとともに、効果的な治療に対する医療保険の適用の在り方を含め、不妊治療の経済的負担の軽減を図る方策等についての検討のための調査研究を行う」とされました。そして2022年の診療報酬改定において不妊治療の保険適用がなされます。
しかしながら全ての不妊治療が保険適用になったのではなく、様々な技術があるためにまずは学会が推奨度A・Bとするものを保険適用し、推奨度Cは保険適用外となりました。ただし患者負担等を考慮して「先進医療」とすることで、「保険診療と保険外診療の併用」を可能となりました。今回は不妊治療の保険診療について、これまであった助成金についてご案内させて頂きます。
<2021年1月1日から2022年3月末まで>
2021年1月 不妊治療助成金の拡充(1回30万円を1子につき6回、所得制限排除等)
2021年夏頃 学会ガイドラインを完成、中央社会保険医療協議会で議論
2022年2月 中央社会保険医療協議会で保険適応決定
<2021年1月1日から2022年3月末まで>
2022年4月 不妊治療の保険適応開始予定
※厚生労働省「不妊治療に関する取組の不妊治療に関する資料集【令和4年2月25日時点】の概要版」より
子供を持ちたいが金銭的に難しいという方々の気持ちに寄り添い、不妊治療への保険適用を早急に実現することを目的に、2021年より不妊治療の助成の拡充が進んでいます。
令和3年度(2021年度)中に詳細決定、令和4年度 (2022年度)当初から保険適用を実施することを目標として調整されてきました。保険適用までの間は、不妊治療の旧助成制度で問題視されていた所得制限の撤廃を行い、また助成額の増額(1回30万円)などを行い経済的に負担があり不妊治療を諦めていた方も対象拡大と大幅な拡充によって家族計画を立てることができるようになりました。
不妊治療の保険適用により特定不妊治療助成事業は2022年3月に終了し、4月以降は保険診療に切り替わります。しかしながら、2022年4月からの保険適用への移行期で治療計画に支障が生じないようにするために経過措置が講じられ「年度をまたぐ1回の治療」に関しては助成金の対象となっております。「1回の治療」が終わった以降は保険診療に切り替わりますので、治療中の方で年度をまたぐ方はご注意ください。各自治体毎に表明されておりますので、自治体のホームページをご確認頂ければと思います。
京都市:不妊に悩む方への特定治療支援事業
京都府:特定不妊治療への助成について
※ 厚生労働省「不妊に悩む夫婦への支援についての【概要】 R3補正「不妊治療の保険適用の円滑な移行に向けた支援」」より
これまでは不妊症の原因になりうる原因を検査して原因疾患が発覚した場合にはその疾患に対して保険適用で治療を行うことができましたが、保険適用でできる治療法には限りがあり、患者さんへの負担が大きいものとなっていました。
これまでは体外受精や顕微授精は保険適応ではないため自費診療として治療が行われていました。日本ではまだ認可されていない薬剤を使う治療も多くあり、自費診療は各医療機関の判断によって費用が設定されているため、医療機関によって治療費が異なっておりました。保険診療が開始されることで各医療機関での治療費用が一律となり、患者負担分も保険で賄われるため治療費の負担額は大きく変化します。保険適用となる不妊診療については、以下となります。
先進医療とは、保険外併用療養費制度の評価療養に属するもので、保険診療として認められていない先進的な医療技術等について安全性・有効性等を確保するための施設基準等が設定されており、保険診療と保険外診療との併用を認めている医療です。将来的に保険導入に向けた評価をも担っています。
先進医療では、先進A、先進Bという区分けがあり、不妊治療に関するものとして先進Aとして新たに6項目が加わりました。先進医療を実施する医療機関は届出が必要となっておりますので、先進医療を受ける場合は届出されている医療機関を受診する必要があります。
何故このような制度があるかというと、日本では保険診療と自費診療を合わせた混合診療が認められておりません。ただし保険外併用療養費制度に該当している医療だけは、保険診療との併用を認めております。
また保険診療と先進医療に該当しなかった不妊治療の医療内容については、自費診療となります。自費診療の場合、混合診療が認められておりませんので、保険診療を適用することができないため、全てが自費診療になります。そのため、第三者の精子や卵子を用いた生殖補助医療である「第三者の精子提供による人工授精(AID)、第三者の卵子や胚提供、代理懐胎」などは保険を活用することができず、自費診療となります。
2022年3月16日に発表された診療報酬の「不妊治療に係る診療報酬上の取扱いについて」ご案内させて頂きます。
<問1>
不妊症の患者とそのパートナーの属する保険者が異なる場合において、①一般不妊治療、②体外受精・顕微授精又は③精巣内精子採取術を経由する顕微授精のそれぞれついて請求方法は?
◆答え
①一般不妊治療
患者及びそのパートナーそれぞれに対して実施される診療の場合は、一般不妊治療管理料も含めそれぞれの保険者に対して請求することができる。
②体外受精・顕微授精
生殖補助医療管理料も含めそれぞれの保険者に対して請求することができる。体外受精·顕微授精を含む生殖補助医療については、最終的には胚移植という女性に対する医行為を行うものであるため、採卵術、体外受精·顕微授精管理料、受精卵·胚培養管理料、胚凍結保存管理料及び胚移植術は、当該治療を受ける女性の属する保険者に請求すること。
③精巣内精子採取術を経由する顕微授精 精巣内精子採取術等の男性不妊治療については、当該治療を受ける男性の属する保険者に対して請求すること。その後、顕微授精に移行する場合は、②の考え方に基づき、顕微授精による治療の開始日以降は当該治療を受ける女性の属する保険者に請求すること。
<問2>
一般不妊治療管理料の算定要件のうち、治療計画に係る患者及びそのパートナーへの説明·同意の取得については、両者が受診した上で行わなければならないのか。6月に1回以上行うこととされている「治療内容等に係る同意について確認」についても両者の受診が必要か?
◆答え
初回の治療計画の説明に当たっては、原則として当該患者及びそのパートナーの同席の下で実施すること。ただし、同席が困難な場合には、その理由を診療録に記載するとともに、やむを得ない事情がある場合を除き同席ができなかった者に対しても以後の診療機会に説明を行い、同意を得ること。後段の「治療内容等に係る同意について確認」については、同意について確認がとれればよい。なお、上記取扱いは、生殖補助医療管理料についても同様であること。
<問3>
一般不妊治療管理料の初回算定時における婚姻関係等の具体的な確認方法は?
◆答え
法律婚である場合はその事実関係を、法律婚以外の場合は患者及びそのパートナーが事実婚関係にある旨の申告を受けるとともに以下アからウまでの内容について、それぞれ確認を行うこと。なお、上記取扱いは、生殖補助医療管理料についても同様であること。
ア. 当該患者及びそのパートナーが重婚でない(両者がそれぞれ他人と法律婚でないこと。
イ. な当該患者及びそのパートナーが同一世帯であること。なお、同一世帯でない場合には、その理由について確認すること。
ウ. 当該患者及びそのパートナーが、治療の結果、出生した子について認知を行う意向があること。
<問4>
一般不妊治療管理料の初回算定時における婚姻関係等の具体的な確認方法は?
◆答え
不可
<問5>
患者又はそのパートナー以外の第三者からの精子·卵子·胚提供による不妊治療や代理懐胎は、保険診療で実施可能か?
◆答え
不可
<問6>
令和4年4月1日より前に治療を開始した診療が同日以降も継続している場合、保険診療として実施することは可能か。
◆答え
年度をまたぐ「1回の治療」に対して、特定治療支援事業の経過措置が設けられており、1回に限り助成金の活用が可能とされているため当該事業をご活用いただきたい。 なお、令和4年4月1日より前に凍結保存した胚については、一定の条件下で、保険診療において使用することを可能としている。
<問7>
治療計画の作成に当たって把握することとされている患者及びそのパートナーのこれまでの治療経過等について、具体的な確認内容は?
◆答え
患者及びそのパートナーについて、過去の不妊治療等の産婦人科・泌尿器科領域における治療歴(出産、流産、死産等の経過を含む。)、保険診療/保険外の診療の別、保険診療における生殖補助医療の実施回数、過去に治療を実施した他の医療機関など、治療上又は算定要件上必要となる事項について申告を求め、可能な限り確認を行うこと。過去に治療を実施した他の医療機関がある場合には、当該医療機関に照会の上、治療歴の詳細や実施回数などを把握すること。
<問8>
2回目以降の胚移植の計画策定の際は、初回に確認した婚姻関係等の状況から変更がないことを確認すればよいか?
◆答え
よい
<問9>
年齢制限に係る年齢のカウントは、43歳の誕生日以降は保険診療での要件を満たさなくなるという理解でよいか?
◆答え
よい。年齢のカウントについては、誕生日を基準とすることとし、年齢計算に関する法律や民法上の解釈による誕生日の前日ではないことに留意すること。
<問10>
女性の年齢が年齢制限の基準日において43歳未満である場合に限るとされている。保険適用の施行当初は、例えば、医療機関において不妊治療を保険診療として実施する準備ができていないこと等も考えられるが、43歳未満で治療を開始できず、43歳で治療開始することになってしまった場合の取扱いは?
◆答え
令和4年4月1日から同年9月29日までの間に43歳に達する女性について、43歳に達した日の翌日(43歳の誕生日)以後に初回の治療を開始した場合であっても、同年9月30日までに治療を開始したのであれば、当該治療開始日を含む1回の治療(胚移植を目的とした治療計画に基づく一連の診療をいう。)に限り、年齢制限の基準日において生殖補助医療管理料の年齢に関する算定要件を満たすものとみなす。
<問11>
不妊症と診断された患者及びそのパートナーについて、がん等の他の疾患覚し、その治療を行うこととなった場合には、不妊治療を中断せざるを得ない場合がある。この場合において、以下を保険診療として実施してよいか?
①がん等の治療のため、不妊治療を中断するまでに実施した生殖補助医療(例えば、採卵、体外受精・顕微授精、受精卵・胚培養、胚凍結保存等の生殖補助医療を実施した場合)
②がん等の治療の終了後、不妊治療を再開する場合における生殖補助医療
◆答え
いずれも可能
<問12>
採卵術の算定要件として、一連の診療における採卵術の実施回数について制限はないという理解でよいか?
◆答え
よい
<問13>
採卵術、体外受精·顕微授精管理料、受精卵・胚培養管理料、胚凍結保存管理料及び胚移植術について、それぞれの算定日の考え方は?
◆答え
採卵術及び体外受精·顕微授精管理料は、採卵を実施した日に算定することが想定される。
受精卵・胚培養管理料及び胚凍結保存管理料は、胚培養を実施した後に、その結果報告及び今後の治療方針の確認のための受診日がある場合には、当該受診日に算定することが想定される。なお、採卵日以降、受診日がない場合には、胚移植を実施した日に算定することが想定される。
<問14>
「胚凍結保存管理料1(導入時)」については、胚の凍結とその後1年間の凍結保存及び必要な医学管理に要する費用を評価するものであり、同管理料を算定してから1年を経過した後に、継続して胚凍結保存を実施する場合には、「2存維持管理料」を算定することとなるという理解でよいか?
◆答え
よい
<問15>
令和4年4月1日より前から凍結保存されている初期胚又は胚盤胞について「胚凍結保存管理料1(導入時)」と「胚凍結保存維持管理料2」のいずれを算定すべきか。その際の算定年数の限度は?
◆答え
「胚凍結保存維持管理料2」を算定する。この場合、令和4年4月1日以降に算定した生殖補助医療管理料に係る治療計画に記載した場合には、当該治療計画を策定した日を起算点とすることとなるが、同日より前に凍結保存に関する費用を徴収している場合には、同日以降であってもその契約期間中は「胚凍結保存維持管理料2」は算定できないこと。この場合において、同日より前の診療に係る当該契約を解消し、令和4年4月1日以降の保存に要する費用を患者に返金した上で、同日から「胚凍結保存維持管理料2」を算定することは差し支えないこと。
<問16>
令和4年4月1日より前に凍結した胚を用いて保険診療を実施することは可能か。可能な場合、その留意事項は?
◆答え
令和4年4月1日より前に不妊症と診断された患者及びそのパートナーに対して実施した生殖補助医療において作成された初期胚又は胚盤胞を用いて、同年4月1日以降に胚移植術を行う場合、以下の⑴~⑷の全てを満たす場合には保険給付の対象とする。
(1)令和4年4月1日以降に、治療計画を作成し、生殖補助医療管理料を算定すること。
(2)以下のいずれかの場合に該当すること。
①特定治療支援事業の実施医療機関として指定を受けている若しくは日本産科婦人科学会の体外受精·胚移植に関する登録施設である医療機関において作成·保存された初期胚若しくは胚盤胞である場合
②当該初期胚又は胚盤胞を用いた生殖補助医療を実施する医師が、その作成·保存に関して、①の医療機関と同等の水準で実施されていたと判断できる場合
(3)保険診療に移行することについて患者の同意を得ること。
(4)同年4月1日以降に実施される不妊治療に係る費用について、同年3月31日以前に患者から徴収していないこと(同日以前に当該費用を徴収している場合であって、同年4月1日以降の不妊治療に要する費用の返金を行ったときを含む。)。
<問17>
令和4年4月1日より前に特定治療支援事業において実施された治療の回数は含まないという理解でよいか?また、同事業の経過措置により年度をまたいで令和4年4月1日以降に胚移植を実施し、同事業の助成金の支給を受ける場合はどうか?
◆答え
いずれの場合も、保険診療における胚移植術の実施回数に含まない。
<問18>
患者及びそのパートナーについて初めての胚移植術に係る治療計画を作成した日における年齢(以下「回数制限の基準日」という。)が40歳未満である場合は、患者1人につき6回に限り算定することとされている。保険適用の施行当初は、例えば、医療機関において不妊治療を保険診療として実施する準備ができていないこと等も考えられるが、40歳未満で初めての治療を開始できず、40歳で治療開始することになってしまった場合の取扱いは?
◆答え
令和4年4月1日から同年9月29日までの間に40歳に達する女性について、40歳に達した日の翌日(40歳の誕生日)以後に保険診療として初めて治療を開始した場合であっても、同年9月30日までに治療を開始したのであれば、回数制限の基準日において40歳未満で初めて治療を開始したものとみなし、当該患者1人につき胚移植術を6回に限り算定して差し支えない。この場合、当該初めての治療を開始した年月日及び当該患者の生年月日を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
※厚生労働省 「不妊治療に係る診療報酬上の取扱いについて(令和4年3月16日)」より
不妊治療には、金額負担だけでなく不妊治療の通院をしながら仕事を続けることの難しさやメンタルヘルスへの影響などまだまだ問題は山積みです。しかし、少しずつ制度改定されていくことで皆様の今後の家族計画の背中を押してくれるのではないかと期待しています。
今日お伝えした内容は2022年3月16日現時点での診療報酬改定の概要となります。今後発表される算定要件次第で変更となる点で出てくることがあることにも注意しましょう。
不妊治療のうち体外受精や顕微授精の特定不妊治療はこれまで自由診療で公的保険の対象外でしたが、不妊に悩む方への特定支援事業において令和2年度第三次補正予算案の閣議決定がなされ、不妊治療に対する助成と将来的に不妊治療の保険診療検討が示されました。 内容については閣議決定されておりますが、2021年1月31日現在、申請方法や手続き方法についてはまだ詳細内容は公開されておりません。しかしながら助成内容については発表されておりますので、ここで解説させて頂きます。 また不妊治療の保険適用についてもスケジュールが示されており、今後検討が進められてゆくと思います。こちらも合わせて今わかっている祷応報をご案内させて頂きます。
①助成拡大の意図とどういったことが拡充されたのか。
子供を授かりたくても晩婚化の影響もあってか、不妊治療をする方が増えているのが現状です。また初期不妊治療のタイミング療法や人工授精で妊娠される方もおりますが、年齢が高くなることで妊娠しにくく、高度不妊治療の体外受精や顕微授精に移行される方も多いのが現状です。 高度不妊治療については非常に高額で、自由診療のため保険適用が無いことから患者様負担が大きく、金銭的負担は強いられております。これまでも回数や年収制限があるものの特定支援事業での助成金がありましたが、今回新に発表された内容はより一層の制限緩和と助成額の増大がなされております。また不妊治療の保険適用をすることが示されたことも、大きなポイントです。保険診療の具体的に拡充される内容は令和3年度(2021年度)中に詳細を決定し、令和4年度 (2022年度)当初から保険適用を実施することを目標として調整を進めてゆくようです。そのため今後の制度の内容がどの様になるかも気になる所です。 保険適用までの間は不妊治療の旧助成制度で問題視されていた所得制限の撤廃を行い、また助成額の増額(1回30万円)などを行います。経済的に負担があり不妊治療を諦めていた方も、対象拡大と大幅な拡充によって家族計画を立てることができるようになります。
②内容の新旧比較
対象年齢の変更はありませんでしたが、所得制限の撤廃、助成額の増額、助成回数が1子あたりへの変更、対象者を事実婚のカップルにも拡大が大きく変更された点になります。
①対象となる治療は?
助成が対象となる治療法は、特定不妊治療の体外受精、顕微授精のみとなっています。特定不妊治療に含まれないタイミング法、人工授精、保険診療で行う各種検査などは対象外となりますのでお気をつけください。
②どこでも治療ができるの?
助成にあたっては、各都道府県などの事業実施主体が定める医療機関となります。そのためどこでも助成が適用されるわけではないため、助成対象医療機関となっていることをご確認下さい。体外受精、顕微授精を実施している特定不妊治療を実施している医療機関のみが対象となると思われます。
①対象となる方
新助成制度の対象となる方は、厚生労働省では以下の2つを示してしています。 ①特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、又は極めて少ないと医師に診断された夫婦 ②治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦 つまり、治療を始めた最初の日が42歳(43歳の誕生日を迎える前まで)であること、またタイミング療法や投薬などで不妊治療を行ったが妊娠をする可能性がとても低いと医師が診断した場合で、特定不妊治療に進むご夫婦が対象となります。また、これらの助成は領収書と必要な書類を添えて自治体に申請する必要があります。 ※43歳以上の方は、自治体によっては新型コロナウイルス感染拡大に伴う特例措置により適用年齢が延長される可能性もあるため、お住まいの自治体に確認するようにしましょう
②いくら助成してもらえるの?
旧制度の助成額は、1回目30万円、2回目以降15万円となっていますが、新制度からは2回目以降も30万円に引き上げられることとなりました。また生涯で最大6回までとしていた助成の回数を、子ども1人につき最大6回までと緩和されました。2子では助成回数がリセットされるため、再度制度を利用することができるようになります。 ただし通算助成回数については、初めて助成を受けた治療期間の初日の妻の年齢が40歳未満であるときは6回まで、40歳以上であるときは通算3回までと示されているため、40歳の誕生日前までに治療を開始しているかどうかで助成回数が変わってくるので、ご注意下さい。 また所得制限は撤廃されたため、共働きで収入が多い方も働きながら不妊治療を受けることができるようになります。 最終的には2022年4月に保険適用を目指して検討なされるため、保険適用となった場合は今後より一層不妊治療が受けやすい社会になるのではと考えられます。
③過去に不妊治療をした人はどうなるの?
2021年1月1日以降に終了した治療が対象となりますので、過去の治療に関しての助成適応ではありません。そのため2020年12月31日までの治療分は旧制度の対象となります。
④申請方法
1月31日現在、どの自治体からも申請方法については明確に提示されておりません。各自治体とも国からどの様に進めてゆくかの方針を待っている状況で、近々発表があるのではと思っております。 もし一早く詳細情報を得たい場合は、お住まいの自治体に問い合わせるか自治体のホームページを確認頂ければと思います。治療進行中の方は、詳細決定まで必ず領収書は捨てずに保管するようにしましょう!
①保険適用の意図
近年、日本における少子高齢化は急速に進行しており
高齢者に偏りがちな給付を見直すことの必要性、現役世代の負担の軽減、 今後の世代を担う子供達への充足が必要であることが指摘されていました。
菅内閣の発足後は、少子化対策や医療改革について議論が行われ、全世代型社会保障改革の方針を定めることになっております。
お年寄りだけではなく、子供達や子育て世代、さらには現役世代まで広く支えていくために、社会保障全般にわたる持続可能な改革を検討することで、 すべての世代が公平に支え合う「全世代型社会保障」を目標に大きく改革が進んでいくのではと思われます
②今後のスケジュール
■2021年1月1日から2022年3月末まで
・2021年1月 :不妊治療助成金の拡充(1回30万円を1子につき6回、所得制限排除等)
・2021年夏頃 :学会ガイドラインを完成、中医協で議論
・2022年年明け:中医協で保険適応を決定
■2022年4月以降
・2022年4月 :不妊治療の保険適応開始予定
③それぞれの治療の金額
体外受精や顕微授精は保険適応ではないため、高額になるという話をよく耳にします。
これは日本ではまだ認可されていない薬剤を使う治療も多くあったり、不妊治療に関わる設備投資が大きいこと等が要因と考えられ、 また保険適用が無いために支払総額が高額になってしまっております。
では実際に治療されている不妊治療は、いくらかかるのでしょうか?
実はこの金額は医療機関や地域によって全く異なり、一概にいくらとは言えません。今から紹介する金額は1つの目安として下さい。
基本的な体外受精の治療は、卵巣刺激→採卵→受精・胚培養→胚移植→妊娠確認という流れです。これらはおおよそ1回40〜70万円ほどかかります。
また1回で妊娠確認できる方は多くなく、体外受精を繰り返す方が多い現状です。
「女性を応援するWebメディア「妊活ボイス」様の2017年10月に実施された「妊活・不妊治療」に関するインターネット調査」によると、 「妊活全般にかかった費用」は平均で約35万円であり、人工授精・体外受精・顕微授精のいずれかを経験した方に限ると、平均費用は約134万円まで上昇します。
さらに不妊治療の中でも高額となる高度不妊治療(体外受精・顕微授精)の経験者となると、その治療費の平均は193万円まで上昇するようです。
(Webメディア「妊活ボイス」2017)
このことから、特定不妊治療に対しての助成がどれだけ経済的な負担を軽減するかがよくわかります。
今回の不妊治療の拡充は、助成額の増額だけではなく、所得制限の撤廃、事実婚も助成対象とする等、これまでの不妊治療の助成とは大きく拡充方向に変更されました。少子高齢化、晩婚化する日本の出産サポート、出生率拡大など、将来の日本の人口増大に寄与しつつ、各夫婦が金銭的理由で選択肢が狭まれない様になると良いかなと思います。 またまだ詳しい手続き方法など開示されていない内容もありますので、今後も新しい情報があれば改めて情報提供させて頂ければと思います。
身原病院は京都市の西京区にある産婦人科病院で、上桂駅前に位置しています。身原病院は1969年に開業し、出産やお産だけでなく、「女性のトータルパートナー」として、地域医療に邁進しています。女性に特化した産婦人科病院であり、出産(普通分娩、無痛分娩、帝王切開)の「産科」、女性特有の病気や避妊、中絶などを診る「婦人科」、不妊症の相談から高度不妊治療を行う「婦人科(不妊治療)」について診療しています。
身原病院の特徴は、最新の設備や医療機器を備える一方で、「親切でアットホームな雰囲気やすごしやすさ」を大切にし、女性が求める医療やサービスを提供していることです。
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〇産科について
産科では、妊婦さんが外来中もリラックスして過ごせるように、大きな待合室やマタニティヨガ、プレママクラス、ミュージックセラピー、無痛分娩クラスなどの教室を提供しています。また、最新の4Dエコーを使用して診療を行っており、4Dエコー画像の提供も行っています。その他、出生前診断、助産師外来なども行っております。また助産師、薬剤師、管理栄養士も在籍しており、相談体制を整えております。
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〇婦人科・婦人科(不妊治療)について
婦人科・婦人科(不妊治療)では、女性特有の悩みを抱える方や不妊治療の患者さんが気軽に受診できるように、産科と婦人科・婦人科(不妊治療)の出入り口や診察場所を分けています。
婦人科では、生理不順、子宮外妊娠、更年期障害、避妊、中絶、がん検診、ブライダルチェック、エイジングケア、プラセンタ療法など、女性特有の疾患について産婦人科専門医が診療を行っています。
不妊治療については、不妊治療の相談、一般の不妊治療(タイミング療法や人工授精)、高度不妊治療(体外受精や顕微授精に対応)と幅広く対応しており、不妊カウンセリングや無料説明会も行っています。女医が多く配置されており、内診が怖い、痛そう、恥ずかしいと感じる方でも気軽に受診できるようにしています。また、薬剤師、管理栄養士、胚培養士、不妊カウンセラーなども在籍しており、相談体制を整えております。
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入院では、陣痛から産後数時間まで同じ部屋で過ごせるLDRを設置しており、スタッフが出産に必要なサポートを提供します。個室にはシャワーやトイレが完備されており、無料のアロマテラピーも提供いたします。入院中の食事は管理栄養士や調理師が調理し、週に2回はフレンチシェフによるフランス料理も提供しています。
出産には、普通分娩や帝王切開、無痛分娩など、妊婦さんに合わせたバースプランに対応しています。出産後は、母子同室や新生児室での預かり、母乳指導や沐浴指導などのサポートを提供します。退院後には、2週間健診や1カ月健診、ベビーマッサージやマミー&ベビーヨガなどの教室もあります。
また小児科医が常勤しており、出産後や退院後の診療、新生児のワクチン接種なども行っております。
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全てのスタッフが女性に寄り添う病院を目指すべく、地域の皆様と共に寄り添い成長しつづける病院を目指して参りますのでどうぞ宜しくお願いいたします。