治療方法
治療方法
タイミング療法
タイミング療法とは?
基礎体温や超音波検査、尿検査から排卵日を予測し、夫婦生活のタイミングを指導する治療法です。初診時のスクリーニング検査で精液所見に異常がなく、卵管が通っている方が対象となります。
排卵しにくい場合や黄体ホルモンが不足していると思われる場合に内服薬や注射を用いることがあります。
タイミング療法のスケジュール
1.卵胞チェック
超音波で卵胞を観察します。
2.排卵日を予測
超音波検査で卵胞の大きさがちょうどいいくらいになってきたら、尿検査でLHを測定します。
3.タイミング指導
超音波検査と尿検査より、排卵日を予測し、夫婦生活のタイミングを指導します。
4.排卵チェック
翌日または翌々日に、ちゃんと排卵したか確認する場合もあります。
5.黄体ホルモン補充
必要があれば黄体ホルモンの補充を行います。
5~6周期行います。それでも、なかなか妊娠に至らない場合人工授精へのステップアップをおすすめしています。
人工授精
人工授精(AIH)とは?
排卵期にあわせて、子宮内に精子を注入する治療方法です。自然妊娠と同じく卵管で受精します。
精子の数が少ない、運動精子が少ないなど精子の状態に問題がある場合や頸管粘液が少ないなど頸管粘液に異常がある場合、性交障害がある場合、タイミング法でなかなか妊娠に至らない場合などに行う治療方法です。
当院では精子の注入方法は2種類あります。
※人工授精(AIH)自体による痛みはほとんどありません。
原液による人工授精
採取した精液の一部をそのまま子宮腔内へ注入します。
精液中に含まれるプロスタグランディンの作用により子宮が収縮し痛みを感じることがあります。また、精液中には細菌がふくまれていることがあり感染の原因となることがあります。
洗浄濃縮による人工授精
採取した精液を密度勾配法を用いて洗浄濃縮し、子宮腔内へ注入します。
洗浄濃縮することにより、精液中のプロスタグランディンや細菌をある程度除去することにより、痛みや感染のリスクを軽減することができます。また、精子の運動性が活発になり、精子数や運動率がよくなる効果が期待できます。
人工授精(AIH)のスケジュール
1.排卵日を予測
超音波で卵胞の観察と尿中LHチェックより排卵日を予測し、AIHのタイミングを見極めます。
2.人工授精(AIH)
排卵予測日に人工授精(AIH)をします。
3.排卵チェック
翌日または翌々日に、ちゃんと排卵したか確認します。
4.黄体ホルモン補充
必要があれば黄体ホルモンの補充を行います。
5~6周期行います。それでも、なかなか妊娠に至らない場合体外受精へのステップアップをおすすめしています。
体外受精・顕微授精
体外受精(IVF)とは?
排卵直前の成熟した卵子を採取し、体外で精子と受精させ、得られた受精卵(胚)を数日培養し子宮内へ戻す治療方法です。
以下の場合、適応となります。
- 卵管因子
- 排卵障害
- 重度の子宮内膜症
- 男性不妊
- 免疫性不妊
- 原因不明不妊
- その他
2013年の統計ではART(生殖補助医療)での出生児は42,000人を超えています(全出生児数の約4.1%)。
顕微授精(ICSI)とは?
顕微鏡下で1匹の精子を直接卵子に挿入して受精させ、得られた受精卵(胚)を数日培養して子宮内へ戻す治療方法です。
- 重度の男性因子
- 原因不明の受精障害
- その他
胚(受精卵)の分割の様子
胚(受精卵)のグレード分類
当院では初期胚はVeekの分類、胚盤胞はGardnerの分類を用いて胚のグレードの評価をしています。
胚盤胞のグレード分類
胚凍結について
胚凍結とは?
複数個の受精卵が得られた場合でも、1回の移植で子宮に戻すことのできる胚(受精卵)は1個または2個です。
そこで、余った胚(受精卵)を凍結保存することにより、今回妊娠に至らなかった場合でも次回は採卵をせずに凍結した胚(受精卵)を使って治療することができます。
また、卵巣過剰刺激症候群を回避するために、一旦すべての胚(受精卵)を凍結することもあります。
孵化補助療法(AHA:アシステッドハッチング)
胚盤胞まで発育した受精卵が、着床する時に卵の殻である透明帯を破って外に出ることを孵化(ふか)といいます。この孵化がうまくできないと着床できません。
そこで透明帯の一部を、菲薄化もしくは一部開口し、殻から出やすくなるようにしてあげる治療技術をAHAといいます。
当院におけるAHAの適応
- 透明帯が厚い場合
- 凍結融解移植を行う場合
- 高年齢の方
- 反復不成功例
体外受精のスケジュール
体外受精の誘発方法はいくつかあり、以下リンクページで3種類の誘発方法のスケジュールをご説明させて頂きます。