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子宮外妊娠について

子宮外妊娠について

子宮外妊娠 とは 、「子宮」という赤ちゃんを育てるところの中以外で妊娠することを子宮外妊娠といいます。妊娠初期の異常妊娠の代表的なもののひとつで、頻度は概ね全妊娠数の約1〜2%とされています。

子宮外妊娠とは受精卵が本来の赤ちゃんのベットである子宮内膜以外に着床してしまうことです、受精卵の移動の過程のどこにでもおこります。着床する部位の違いによって右図にわけられますが、このうち卵管妊娠(①〜③)が98%を占めています。
(実際は①の卵管膨大部(らんかんぼうだいぶ)で90%以上)

子宮外妊娠の原因・子宮外妊娠を起こす可能性のある人

クラミジアや淋病などの性感染症、頻回の妊娠中絶などにより卵管自体あるいは卵管周囲に炎症が起こることが原因となる場合や、子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)による卵管周囲あるいは卵管を巻き込んでの癒着(ゆちゃく)が生じた場合、卵管に憩室や発育不全、奇形などの異常が見られた場合などにより起こりうると考えられます。

症状

主な症状は不正出血と下腹部痛ですが、初期に普通の妊娠と変わらず症状がないことが多いです。
また着床した絨毛組織(赤ちゃんのもとになるもの)が卵管内(卵巣/腹膜)でいつまでも発育するのは不可能で、限界に達するとその場所で流産する「卵管流産(らんかんりゅうざん、tubal abortion)」 か、または卵管が破裂する「卵管破裂(らんかんはれつ、tubal rupture)」することになります。ここまでくるとかなりの痛みをともないますが、軽度の痛みのこともあります。
卵管流産(らんかんりゅうざん)または卵管破裂(らんかんはれつ)し、出血多量の場合はショックを起こして死亡に至るケースもありますので、早めの受診と診断をしてもらうことをお勧めいたします。

検査・診断法

主に超音波検査とhCG定量検査(血液または尿)です。hCGとは、赤ちゃんが出すホルモン物質で妊娠週数ごとに増えていきます。
尿検査で妊娠反応は出ているのに、いつまでたっても子宮内に胎嚢(たいのう)が見えない場合に子宮外妊娠を疑います(実際にはhCGの値が1000IU/ml以上となっているのに胎嚢(たいのう)が見えない場合などです)。しかし初期の流産のこともありますので、慎重に鑑別を行います。
また卵管破裂前は症状や所見に乏しいことから診断がつきにくく、腹腔鏡検査などで初めて確定診断となることもあります。

治療法

待機療法:
症状が落ち着いている場合、尿hCGの値が低い場合(具体的には1000IU/ml以下)、胎児心拍を認めない場合に選択されることがある療法です。

薬物療法:
メトトレキセート(MTX)という抗ガン剤を使います。これは副作用がかなり強く、主な副作用としては口内炎などが挙げられます。これも胎児心拍がなく、hCGが低めの値のときに選択される療法です。

手術療法:
胎児心拍が見えている段階や卵管破裂を起こしている場合、hCGが高値の場合は、手術療法を行います。腹腔鏡(ふくくうきょう)や開腹手術(出血量が多い場合、緊急の場合)によって妊娠している側の卵管(卵巣)を切除します。場合によっては卵管を全部切除せずに一部のみ切除し、形成する手術(卵管温存手術)もあります。しかしながら適応は限られます。